帯締めの種類がたくさんあって分からない人に
お店にいても帯締めについての質問は結構ありますね。
初心者の方には、着物の種類と帯締めの関係が分からない方も多いです。
- おしゃれ着用と礼装用がよく分からない。
- 着物や帯の色と帯締めの色の組み合わせが分からない。
- 安い帯締めと高級な帯締めの差が分からない。
こんな声が多いですね。
着物の小物の中では帯締めが一番重要です。
着物小物は、帯締め、帯揚げ、重ね衿(礼装中心)、草履、バッグがありますね。
どれも重要ですが、帯締めが一番センスが出ますね。
また、帯締め一本でNGもあります。
帯締めは、着物姿の中心にあるので、色の組み合わせが大事ですね。
20年位前、初代の久保田一竹さんに
地色が紫色の辻が花訪問着に合わせる帯締め帯揚げを質問した時のことです。
一竹さんは、
「私の着物には、帯揚げは着物の濃淡、帯締めは着物と同色が一番」と言っていました。
自分の着物に合わせる小物は、色をあまり使わない、
基本は濃淡、同色と言っていました。
一番上品な組合せですよね。
一竹さんの辻が花は、
ぼかしのグラデーションと絞り部分に青、赤などに色がありますから、
小物はなるべくシンプルにしたほうが着姿が美しいですね。
帯締め
大きく分けて、2種類です。
- 一般的な組紐
- 布で綿(ワタ)や芯をくるんだ丸ぐけ
丸ぐけは、
振袖やアンティークの着物や洗える着物の小紋などカジュアルな着物に似合いますね。
振袖には、レンタルやセットの振袖とは違ったカワイイ丸ぐけを締めるとオシャレですよ。
刺繍が入った丸ぐけと細めの組紐を組み合わせた正絹のお品です。
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アンティーク着物やカジュアル着物には、
ポリエステルで色や柄で楽しむ帯締めが良いですね。
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帯締めは、一般的には組紐です。
組紐は、3種類あります。
- 平打ち(平組)
- 丸打ち(丸組)
- 角打ち(角組)
産地は、京都の京くみひも、三重県の伊賀組紐、東京の江戸組紐が三大産地です。
- 京くみひもと伊賀組紐は国の伝統工芸品に指定されています。
- 江戸組紐は、東京都の伝統工芸品に指定されています。
産地が違っても組み方は同じですが、柄や色が微妙に違います。
京都ははんなり、伊賀はオールマイティ、江戸は、シックという感じですね。
また、各産地には、老舗があり、そのメーカーによっても多少雰囲気が変わります。
- 京都は、 翠嵐工房 、渡敬。
- 伊賀は、井上工房、前沢工房。
- 東京は、 有職組紐の道明 、五嶋紐。
組紐の種類をご紹介しますね。
手組台別による組台の分類(帯締めの種類)
平組
【高台】
高麗組、甲斐の国組、地内記組、綾高麗組、笹波組、大和組、竜甲組、藤波組、笹波唐組【丸台】
唐組、平源氏組み、笹波組、平杉組【角台】
平唐組【綾竹台】
綾竹組、紅梅組、武田組、遠州組、小桜組【重打台】
重打組、三好組【内記台】
内記組、角朝組
丸組
【丸台】
丸源氏組、つくし組、丸杉組【角台】
四ツ組、八ツ組、江戸組、加茂川組角組
【丸台】
角源氏組、角杉組、冠組、御岳組【角台】
洋角組
それでは、組み方の違いをご説明しますね。
平打ちは平組とも言われ、一番多い組紐で、お店に行っても一番目にしますね。
平打ちの代表的な帯締め
高麗組
「美しいきもの」「きものサロン」に掲載されている、
京くみひもの老舗渡敬の帯締めです。
綺麗な藤色の生地に金糸が入っているセミフォーマル用の帯締めです。
着物通に愛されている渡敬の帯締めは、、組紐にこだわり続け、組み方と色の美しさを追求しています。
手触りはとてもソフトで、キュッキュッと音が鳴るほど締めご心地が良い帯締めです。
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雑誌七緒ファンにお薦めする伊賀組紐の前沢工房の高麗組です。
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江戸組紐、無形文化財の五嶋紐の高麗組です。
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笹浪組
水面にさざ波がたっているような組み目ができるので笹浪組と呼ばれています。
飛鳥時代の聖徳太子の絵で太子が剣をつっている紐の組み方が笹波組です。
正倉院の開眼会では、大幡の縁かがりと条帯に使われている組み方です。
特徴は、色糸の置き方で矢羽根のような柄が出るところです。
有職組紐の道明。
着物ファンの方なら一度は聞いた事がある組紐の一流ブランドです。
江戸時代からの伝統を受け継ぎ創業360年の老舗として、
着物の雑誌でも良く紹介されています。
正倉院など全国各地の寺社仏閣にある遺品の組紐を調査したり、
復元することで伝統技術を守っています。
「有職組紐 道明」というお店の名前は、
古来からの技術や知識をいかした組紐作りを目指しているという姿勢を表しています。
「組紐」の美を追求することによって「組紐」の美を創造する。
創業以来360年以上も素晴らしい組紐を組み続けている道明。
こちらのお品は、有職組紐 道明の笹波組です。
道明ならではの少し緑が入っている濃いグレーの地に、
杏・白杏・白の色を所々に配して組み表わされた柄です。
特徴的な矢羽の模様を、配色を変えて違い矢羽根を表現しています。
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こちらも笹波組です。
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唐組
連続したひし形の模様が現れる格調が高い唐組。
平安貴族が衣冠束帯の時に、剣を吊る紐として使用した組み方です。
こちらの帯締めは、有職組紐道明の唐組です。
柔らかな色合いの茶系のような黄櫨染(こうろぜん)に、淡い桃と 孔雀緑色 と花菱が半分だけ形を見せており、
唐組の独特な菱模様がはっきりと浮かび上がっています。
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江戸組紐五嶋紐の唐組です。
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丸打ち
断面図を見ると丸くなっている帯締めです。
振袖用の帯締めでパールなどの飾りがついて華やかな物が多いですね。
留袖用や不祝儀用の帯締めにも丸打ちはあります。
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それ以外には、少し細めのおしゃれ着用の丸打ちがありますね。
小紋や紬、洗える着物などカジュアル着物に合いますね。
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角打
断面図を見ると角になっている組紐です。
冠組(ゆるぎ)
冠組は,もともと武家の冠の紐として使われていたので、
冠の紐と書いて「ゆるぎ」と呼ばれています。
生地に厚みがあり、弾力性との柔らかさが特徴で、
とても人気があります。
伸縮性があり締め心地は他の帯締めとは全く違う良さがあります。
たくさんの色がありますので、
2~3本あるとほとんどの着物に合わせられますね。
写真の商品は、無形文化財五嶋紐の冠組です。
江戸組紐の無形文化財五嶋紐は、
最高級の絹糸を使った美しい仕上がりと
硬すぎず柔らかすぎない締め心地は定評があります。
付け下げ、訪問着、色無地などの準礼装から
小紋、紬などカジュアルまで幅広くお使いいただけます。
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冠組は無地が一般的ですが、
五嶋紐では金糸が入った物も作られています。
こちらは、付け下げ、訪問着、色無地など
セミフォーマルに合う帯締めです。
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伊賀組紐の冠組
帯締めのトップシェアを誇り、
国の伝統工芸品にしていされている伊賀組紐にも、
もちろん冠組はあります。
雑誌七緒掲載の伊賀組紐の「井上工房」から20色発売されています。
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伝統工芸品にしていされている京くみひもの冠組
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センスが良く丁寧なもの作りに定評がある大原商店の帯締めです。
赤茶色地に変わり組みでアクセントに
薄茶色が入っているカジュアルな雰囲気の組紐です。
房は絡みにくい撚り房です。
普段使いに良いですね。
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京都翠嵐工房の洋角組で組まれた帯締め
龍村織物の生地をアクセントに使用した贅沢な帯締めです。
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