呉服の悪徳商法について
このページを読まれているということは、呉服の悪徳商法の被害にあったということだと思います。
呉服の悪徳商法は、大きく分けて3つあります。
催し物などで強引に販売する展示会商法、着物等を重ね売りする次々販売、はれの日や当選商法など詐欺商法です。
展示会商法(イベント商法)
今現在着物の悪徳商法で最も多いのが展示会商法です。
店外で行う展示会だけでなく店舗で行う販売イベントも含まれます。
展示会等での販売は訪問販売と同じ特商法という法律が適用されます。
特商法について
- 氏名などの明示義務
まず最初に、企業名や氏名、勧誘目的であることとその目的である商品やサービスの種類をきちんと伝える事を義務付けられています。
「見るだけで良いから」などと言って勧誘することを「ブラインド勧誘」といい、それだけで法律違反です。
- 再勧誘の禁止
業者は一度商品購入を断った消費者を再び勧誘してはいけない、という法律です。
ある商品を勧められて「買えません」「必要ありません」などと断ったら、その商品再び勧めてはいけないということです。
- 過料契約の解除
日常で必要とする以上の商品を売りつけるのは行政処分の対象になり、購入後一年間は契約を解除できます。
着物の場合、ワンシーズンに一枚、年間4枚が適量ですが、着物着用の頻度によって変わります。
- 不実の告知
作家物ではないのに有名作家の商品など嘘を伝えて契約に結びつけるのは不実告知といい、違法行為です。
- 事実不告知
重要事項で都合の悪い内容を伝えないで契約することをいい、違法行為です。
着物の販売では、展示会などクーリングオフが適用される販売方法なのに契約時に一切告知しないなどです。
- 威迫
恐怖を感じさせるなど消費者が怖いと感じる行為は禁止されています。
大きな声で怒鳴ったり、数名で囲んで威圧感を与えたりすることです。
- 書面交付義務
特商法に対応した契約書にすべて書き込むことが必要です。
クーリングオフに関する書面は必ず交付しないといけません。
- クーリングオフ妨害行為
クーリングオフの依頼をしたら、出来ないなどと言って妨害する行為です。
妨害行為があった場合、クーリング・オフ妨害解消のための書面を受領するまでクーリングオフ期間は進行しません。
- 不退去罪
帰ってくれと言っても退去しない事で刑法に反する罪です。
訪問販売などで帰ってくれない場合は、警察を呼べば対応してくれます。
- 退去妨害
展示会などで帰りたいと言っても帰らせてくれない、履物を預かって帰さないなど退去妨害です。
契約を取り消すことが出来ます。
特商法が適用される条件
着物の販売に関しては、展示会での販売と訪問販売です。
店舗での販売会などに電話、手紙、訪問などで販売目的であることを隠して誘われた場合、
もしくは見るだけで良いからなどと誘われた場合もアポイントセールスと言い特商法の対象になります。
特商法が適用されるかされないかで「クーリングオフ」や返品が出来るかどうかを大きく左右します。
過量販売(次々販売)
2006年のたけうち、愛染蔵(あぜくら)の倒産で社会問題になった過量販売ですが、いまだに被害が絶えない悪徳商法です。
2017年の消費者契約法の改正により取引形態に限定されず事業主が過量であることを認識していれば、
契約締結から5年以内、追認した時から1年以内ならその契約を取り消すことが出来ます。
消費者契約法改正前は過量販売は特商法のみに適用されていましたので、訪問販売や展示会など限定的でした。
しかし、今回の改正により通常の店舗販売でも過量に販売した場合は契約を取り消せます。
お店側が過量かどうかの判断をするのは難しいですが、日常的に着物を着ないお客様に売り過ぎるのは止めるべきです。
お客様自ら「この着物が欲しい」などと言って選んであげる場合は、問題ありません。
あくまでお店側がお客様にお勧めして購入してもらった場合に限ります。
詐欺商法
はれの日の詐欺事件は驚きましたね。
こんなひどい話は呉服業界でも聞いたことは無いですが、計画倒産のような話はあります。
レンタルも購入も消費者自身がお店の信用を判断するしかないです。
詐欺商法で多いのは、当選商法です。
応募もしていないのに、着物が当たりました!という手紙が着たり、
お店で着物を見ていたら抽選に応募させらて当たりました!という手紙が届くという詐欺です。
当たった着物は、売れ残りの在庫品です。
取りに行くと、そのお店で仕立ててもらうのが条件で仕立て代などが高額で10万円以上になる事もあります。
お店にとっては売れ残った在庫品の処分出来て利益が上がるのですから、笑いが止まりません。
こんなうまい話は絶対ありません。無視することが一番です。
私は、大手の着物チェーン店で2年間お客様相談室に在籍していました。
ちょうど過量販売が社会問題になり特商法、割賦販売法などが改正された時です。
訴訟やクレームも相当あり、高額な返品も相次ぎ大変な時でした。
この時に、お客様を困らせる販売、お客様を不幸にする販売が嫌になりました。
そんな経験もありますので、困ったことがあったらお気軽にご相談ください。
最後に
悪徳商法といえば、愛染蔵(あぜくら)とたけうちです。
2006年、呉服業界最大店舗の年商565億円の「たけうち」という会社が倒産しました。
グループ全体で568店舗が閉店し、社員5800名が即日解雇になりました。
その理由は、愛染蔵(あぜくら)の次々販売、着物の悪徳商法がワイドショーを賑わし、たけうちにも影響がありました。
実際に愛知県の女性がたけうちのマイソフィア・インターナショナルを提訴し、売り上げ低下に拍車がかかりました。
そうすると、ノルマはさらにきつくなり、なりふり構わずに過量販売、囲み販売など強引な販売で売ろうとしました。
さらに、売上は低迷し、最後は祇園祭のイベントに失敗し、8月31日に自己破産しました。
たけうちについて、あるお客様の話です。
「手紙や電話で何度もしつこいくらい販売会やイベントの誘いがあり、断り切れずに行きました。
展示会場では数名の店員さんに囲まれて次から次へと着物や帯を着さられて、『きれい〜素敵〜』とみんなで褒め称えます。
支払えないので「買えません、帰ります」と言っても絶対に帰してくれません。
4時間以上攻め続けられ、私も根負けして契約してしまいました」
そんなことが何度も続き、最終的にクレジットの支払いは約400万円に膨れ上がりました。
主人に内緒で購入したので、毎月の返済が大変でした。
もし、今自分が買っている着物屋さんと似ていると思ったら、もうそのお店に行くのは止めてください。
実は、当時のたけうちグループの社員は20代が多く、そのほとんどは今も着物屋で仕事をしています。
そして当時とほぼ同じような販売方法を今も続けています。
ショッピングセンターに入っている着物屋と言われています。
注意してくださいね。
貴女の着物ライフがよりハッピーになることを願っています。
それではまた~(^o^)/